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ETH Zürichでのテストについて

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この記事では、ETH Zürichでの秋学期のテストについて詳しく書いていきたいと思います。 【注意】僕は研究も行っており、2科目、合わせて10単位しか履修していませんでした。講義だけ履修している人は30単位程度を毎学期取得していることを考えると、テスト対策の負担などは大きく違うと思います。 1. 成績評価システム ETH(というより、スイス)の成績評価システムは、6点満点、0.25点刻み、という特殊な形になっています。なので例えば5.25, 4.75といった、なんとも直感的に理解し難い点数が使われることになります。4点以上が合格で、それよりも低い場合は fail となります。 成績のとり易さについては、学部によって違うようです。ただ同じ講義を取っていたETHの友人に聞いたところ、僕の科目では、 - Failする人はそこそこいる - 5点は勉強すれば取れる - そこから先は指数関数的な努力が必要となり、コスパが悪い - 6点を取るのはとても難しく、something like an achievementである といった印象だったと思います。 成績の付け方は各科目によって異なっていますが、 - 期末試験一発で成績が決まる - 期末試験と中間試験のコンビネーションで成績が決まる - 定期的に課されるレポート課題に基づいて成績が決まる の3パターンが主流だと思います。僕が受講した講義では、 - Dynamic Programming and Optimal Control(以下DPOC):期末試験一発 - Linear System Theory(以下LST):期末試験と中間試験のコンビネーション+レポート課題を出していたら0.25点のボーナス といったシステムでした。 2. テストについて テストの形式はいくつか細かな違いがあり、面白かったです。まず、 ETHの試験では持ち込み資料の持参が許されている場合がかなり多いです。暗記ではなくどれだけ知識を使えるかに重点が置かれているから、持ち込み資料の作成の過程も勉強に役に立つ、というのが理由と聞きました。ちなみに、この持ち込み資料はcheat sheetといいます。面白い名前ですね。 飲食物の持ち込みも比較的自由で、バナナやチョコを横に置いて試験に臨んでいる人もいました。僕の友達は、試験にサボテンを持ち込んだ人を目撃したそ

6ヶ月経過の総括

大変ご無沙汰しております。留学開始1ヶ月の記事を境に、完全に投稿が途絶えてしまいました…投稿を待っていた方には、すみません。ちょうど今スイスに来てから6ヶ月が経過しましたので、これまでを大雑多に振り返りたいと思います。 一言でまとめると、あらゆる面でコツを掴み始めた6ヶ月だったと思います。 ①勉強、研究面 こちらの記事に書いた通り、秋学期では2つの講義を受講しつつ、Semester projectを行いました。講義の方は1月下旬と2月中旬に2つのテストがあり、先週成績が返ってきました。Projectの方は、4月下旬に終了する予定で、まだ継続しています。 【追記 2023/03/03】講義 / テストについて詳細に書きました→ 「ETH Zürichでのテストについて」 ②生活面 スイスの気候は東京に比べてかなり寒く、また冬は曇りの日が多く、かなりきつかったです。食事については、初めはパスタやパンを中心とした食事をとっていたのですが、途中から炊飯器を譲っていただいたこともあり、米食に切り替えました。運動についてはランニングをしたり、ジムに行ったり、友人とテニスをしたりしています。 ③旅行など スイス国内を数箇所旅行しました。11月にイタリア(トリノ)、2月にスペイン(バルセロナとマドリード)にも行きました。良い気分転換になってとても楽しかったです。ただ、毎週のように旅行に行っている友達もいるので、自分は旅行の頻度はかなり少ないと思います。 ④その他 6ヶ月も経つと、かなりスイス(やヨーロッパ)に対する理解が深くなってきたと思います。日本とのいろいろな違いを実感することが多く、毎日発見が多いです。例えば、仕事に対する考え方一つとっても、スイス(=ヨーロッパ)と日本は大きく違うと思います。また、自分の学部では日本人は皆無に等しいので、マイノリティになるというのはどういうことか、というのを身をもって日々実感しています。マイノリティは捉え方によってはネガティブな意味になるかもしれませんが、他の人が持たない性質を持っているというポジティブな側面もあると思います。 現在は、こちらに到着した当初のような興奮はなく、淡々と日々を送っていると思います。それでも自分は現在の環境に大変満足していますし、元気に毎日過ごしています。それは友人や自分に関わってくれている人たち、日本の家族や友人の

1ヶ月経過!ETHの講義/研究について

 ご無沙汰してます. チューリッヒに来てから1ヶ月経ちました.秋学期の講義と研究について決まってきましたので,書いていきたいと思います. 僕のことを知らない方に向けて改めて自己紹介すると,僕は現在東大情報理工の修士1年生で現在ETHに交換留学に来ています.また,制御理論/制御工学に興味があります. この記事では講義/研究について書いていきます. ①講義について 二つの講義を履修することにしました. 1. Linear System Theory (Lecturer: John Lygeros) いわゆる線形システム理論で,行列について扱う講義です.初めの3回の講義を受けた印象では,かなり数学的に厳密な講義だと感じています.(ここまで群や体の定義,線型空間の定義などをを勉強しました).ゆくゆくはこの講義ではLyapunov安定や可制御性,可観測性などについて扱うので,一度勉強したことではあるのですが,数学の証明の練習だと思って受講することにしました. Lecturerの John Lygeros 先生は,ハイブリッドシステムの第一人者です.ギリシャの出身ということでとても陽気で明るく話します. 2. Dynamic Programming and Optimal Control (Lecturer: ‪Raffaello D'Andrea) 動的計画法と最適制御についての講義です.Raffaello D'Andrea先生は制御工学者を代表する方で,このような機会はまたとないと思い受講しました. Raffaello D'Andreaの動画: 「ラファエロ・ダンドリーア: クアッドコプターの驚くべき運動能力」 Meet the dazzling flying machines of the future | Raffaello D'Andrea D'Andrea先生からはオーラを感じました. もちろん,最適制御については興味があったので,内容についてもとても楽しみです. 講義については演習がセットでついています.この演習は博士課程の学生やポスドクの方が担当しています.彼ら/彼女らのティーチングの良い機会となっていると感じました.また,宿題や付録,授業資料の量もとても多く,非常によく準備されていると感じます.その分学生も大変ですが..

出国前日にあたって

しばらく更新が滞ってしまいました。前回は派遣先に内定するまでの流れについて書いたので、次は内定後の話を書こうかと思っていました。しかし、なかなか筆が進みませんでした。このタイミングということで、せっかくなので、出国前日のリアルな感情を書き記しておこうと思います。 今の気持ちとしては、 まずはワクワクしている気持ちがあります。新しい環境で自分がどれだけ出来るか、新しいことの連続を楽しみにしています。行きたい国、学びたいことがたくさんあります。チューリッヒという美しい街で、自分が「観光」でなく「生活」をするのだと考えると、とても楽しみです。海外学会帰りの研究室の先輩の目は輝いていました。自分もあの先輩と同じように、多くの新しい経験が出来ると思うと、待ちきれません。 一方で、そのワクワクしている気持ちと同じくらい、不安な気持ちがあります。自分は果たして新しい環境に馴染めるだろうか、と考えるとゾッとします。日本という安定した場所を(1年だけ、といってしまえばそれまでですが)離れるという自分の決断に疑問が湧くこともあります。そこまでする必要はあっただろうか?と思うこともあります。また、この留学にあたって、現段階では、僕はまだ何も得られていなくて、色々なものを失っているのではないか、という気がしてなりません。 というようにポジティブな気持ちとネガティブな気持ちを交互に感じているわけです。比率にしてみたら、ポジティブから6対4くらいでしょうか。もう少しポジティブになりたいところではありますが、これくらいの比率が、調子に乗らない黄金比だと思って受け入れることとします。 余談ですが、これは僕が大学のテニス部に入部した時の気持ちに似ていると感じました。(クヨクヨしてる僕なので、この思考の癖はよくあるパターンなのかもしれません。)入部時はテニスがたくさん出来る喜びや自分がどこまで上手くなれるかという期待と、この厳しい環境でやっていけるだろうか、活躍できるかという不安を、同じように半々くらい感じていました。ですが、引退した今では、部活をやり切ってよかったと感じているわけです。ということで、今回もそういう方向に行けるのではないかという、謎の自信があります。そのためには、もちろん色々な側面で頑張る必要がありますが、それは自分次第です。頑張ります。 今は少し厳しいですが、この文章を第三者的な視点

留学準備 ~申込編~

  この記事では留学準備について書きたいと思います. これから留学に行くことを考えている人にとって参考になれば嬉しいです. はじめに重要な点を書いておきます. 私が今回使った制度は, 全学交換留学 という制度です.ここでは全学交換留学の申し込みについて書いています. 私が所属している情報理工にも, 部局交換留学 という制度がありますが,大学の数が少なく,自分が行きたい大学も全学交換留学の方が多かったので,全学の方を利用しました.(私が今回行くETHは情報理工の部局交換留学にはありませんでした.) 逆に,あまり詳しくは知りませんが, 工学部にも留学制度があるらしく ,こちらだと選べる大学が情報理工に比べて多いようです.MITやUC Berkeleyなどもあるようです.なので,工学部の方は工学部の留学制度を使うことを検討しても良いと思います.僕は学部では工学部(計数)に所属していたのですが,大学院では情報理工だったのでこちらは使いませんでした. 秋募集に応募しました. 留学の枠は秋募集が多く,春募集は枠自体が少なくなっています.なので,留学に行きたい場合,秋募集に応募するつもりで計画的に準備する必要があります. 秋募集の締め切りは留学に行く前の月の10月頃にあります. 大学4年の時に申し込みを行い,実際に留学するのは大学院1年です. 日本での研究について調整が必要なので,研究室の指導教官の先生が決まっている場合は,必ず事前に相談しましょう. 就活との兼ね合いなどについて,しっかり考える必要があると思います. 制度の概要や必要な書類は基本的に USTEP に書いてあるので,そちらで大まかな流れを掴めば良いと思います.この記事についてもUSTEPを参考に書いています.ここでは,あまり書かれていないことや特に注意するべきことについて書いていきます. 語学について 全学交換留学では英語の試験の点数で足切りが設けられていて,大学が定める基準の点数に満たない場合,その大学には申し込みができません.例えばETHの場合は,80点(Speaking 18点以上)が必要です. 注意ですが,「基準を設けていない場合はTOEFL iBT 79 点以上で良い」という規定は一応あるのですが,基準を設けていない大学の方がむしろ少数なので,自分の行きたい大学がある場合は基準を確認し,条件を満たすように

ブログ開設

今年の9月より1年間,東京大学の 全学交換留学 という制度を利用し, スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich) に留学することとなりましたので,ブログを開設しました. 先日の懇親会の際,研究室の皆さんには,「HTML/CSSでブログを書くんだ!」と散々豪語していたにもかかわらず,結局ブログサービスを使うことにしました.皆さん,賢明なアドバイスありがとうございました.とても使いやすいです.これが無知の知というやつでしょうか.笑 さて,本題に戻りますが,現在は留学準備を進めているところですので,しばらくはその様子について書いていこうと思います.せっかくですので,留学の経緯や留学決定までの流れについても書いていきたいです. 取り急ぎブログ開設の投稿でした.